研究概要 |
抗炎症作用,フォスホリパーゼ【A_2】阻害作用,アルドースリダクターゼ阻害作用など多様な薬理活性を有する海洋産セスタテルペンであるマノアリド、セコマノアリドの効率的な合成を完成した。その過程で、3位に3置換不飽和結合を含むアルケニル側鎖の置換した5-トリメチルシリルフランから一重項酸素酸化によりβ-アルケニル置換γ-ヒドロキシブテノリドを位置選択的かつ官能基選択的に収率よく得る一般法を開発した。更に、α-スタニルフラン誘導体とアリルクロリドのPd(O)触媒を用いるカップリング反応を用いて、ネオマノアリドの効率的合成を完成した。一方、抗菌活性,抗腫瘍性,血圧降下作用,ストレス改善作用などを有する多官能性イリドイド類の構造-活性相関の解明と、新規活性の発見を目的にペンステマイド,ジドロバルトレート,セコロガニン,アラマンジシン,プルメリシンの合成を行った。合成に有用な鍵中間体8,10-デヒドロ-デヒドロロガニンアグリコンはシス-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物から合成したが、光学活性体は天然ゲニポサイドから効率的に合成した。鍵物質よりγ-ヒドロキシアルキルスタナンの四酢酢鉛による新しい開裂反応を用いてセコロガニンアグリコンの合成を完成した。同じ酸化開裂反応を用いてマクロリド抗生物質ブレフェルジンAの全合成を行った。抗腫瘍性イリドイドのペンステマイド,ジドロバルトレートはいずれもゲニピンを原料に8段階59%(ペンステマイド),14段階26%(ジドロバルトレート)と極めて効率よく合成を達成した。アラマンジシン,プルメリシンもゲニピンからC-10位でのアセト酢酸メチルとのPd(O)触媒下の効率的カップリング反応を基軸に、効率的スピロラクトン化,脱水反応を経て合成を達成した。そのほか、抗腫瘍セスキテルペン-テレサイクリン酸の合成を達成した。一方、有機ケイ素化合物や1,3-ジカルボニル化合物の電子移動に基く合成反応を開発した。
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