研究概要 |
アルゴンやヘリウムなどの希ガスを用いるプラズマ光源は、分光化学分析用の励起源として利用され、プラズマ発光分析法として広範な元素の高感度定量を可能にした。一方、このように超微量レベルで定量可能になった微量元素については、その化学形の同定並びに存在状態に関する情報が要求されている。そこで、本研究では昭和59〜61年度の3年間、微量元素のキャラクタリゼーションを行う手法の開発をすべく、高感度分析法である誘導結合プラズマ発光法(ICP)およびマイクロ波誘導プラズマ発光法(MIP)をそれぞれ液体クロマトグラフィー(LC)およびガスクロマトグラフィー(GC)の検出器に応用し、微量元素の高感度分析並びにキャラクタリゼーションに関する開発研究を行ってきた。 LC-ICP法については、(1)岩石,希土鉱物,土壌,石炭などに含まれる希土類元素の分析、(2)海水中の微量重金属元素の濃縮、分離、定量法の開発および沿岸海水中の重金属分布の測定、(3)グラファイトカップ直接導入-ICP発光法による微少量溶液および固体分析法の開発、(4)Mg検出によるクロマト分離を利用したクロロフィル化合物の分別定量の開発、などの研究を行ってきた。これらの研究およびその成果は従来測定が困難であったものであり、学会発表や論文を通じて高い評価を得ている。 GC-MIP法については、MIPがヘリウムプラズマであり、従来分析が困難であった非金属元素も高感度分析ができる特長を生かし、(1)生体試料中のセレンヤヒ素の分析、(2)化学修飾ガスクロマトグラフィーによるヒ素,スズの新分析法の開発、(3)アルキル水銀分析法の研究、などを行ってきた。これらの研究では微量レベルでの化合物定量が可能となり、生体や環境試料中の微量元素のキャラクタリゼーションのための新しい分析法として注目されている。
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