研究概要 |
この研究は、新らたに導入した三つの内標準法、すなわち安定同位体希釈放射化分析法、内標準法および内基準法による放射化分析の基礎検討と、広範な実試料分析への応用を通して、それらの有用性を広く示すとともに、それらの普及化を図ることを究極目標としている。これら新開発三内標準法では比較試料は試料と同じ化学組成をもっており、分析対象元素の絶対濃度は試料および比較標準が別々に異なった粒子線束で照射されても、極めて簡易な関係式を用いて直接求めることができるという共通的特色をもっている。そこでこの研究においては、これら三方法の有用性をそれぞれ別々に立証するため、敢えて性質が両極端に異なる荷電粒子、または光量子を広範な試料に照射して以下のような研究を継続実施してきた。(1)自己遮へい無視系安定同位体希釈放射化分析法の開発と、その光量子放射化への応用、(2)安定同位体希釈放射化分析法による生物試料中のストロンチウムの荷電粒子放射化分析、(3)内標準法による種々のアルミニウム合金中のチタン,クロム,鉄,銅,ガリウムおよびジルコニウムの荷電粒子同時放射化分析、(4)安定同位体希釈放射化分析法による環境試料、すなわち石炭フライアッシュ、河口および池沈積物中のカルシウム,ルビジウム,ストロンチウムおよびセリウムの光量子同時放射化分析、(5)内標準法による環境試料、すなわち池、湖および河口沈積物中のクロム,コバルト,ニッケル,亜鉛,ヒ素,ルビジウム,ストロンチウム,イツトリウム,ジルコニウム,ニオブ,セシウム,セリウムおよび鉛等多元素高精度光量子放射化分析、(6)内標準法による環境試料、すなわち二種類の海岸沈積物中の上記13元素およびアンチモン,バリウムの機器光量子放射化分析。結果として、三内標準法のいづれでも分析対象元素は効果的に、そして極めて容易に高精度で分析できることが立証され、これからの新らしい分析技術として確立された。
|