研究課題/領域番号 |
59470114
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新井 健一 北海道大学, 水産学部, 助教授 (20001597)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1985年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1984年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | 変性防止 / 魚肉タンパク質 / 加熱変性 / 冷凍変性 / 貯蔵 / 食品加工 / 塩変性 |
研究概要 |
我々は先に水産動物の筋原繊維(Mf)タンパク質のCa-ATPase活性の温度依存性を多くの種間で比べ、ミオシン(M)の酵素機能が動物の棲息している水温に適応している事実、またMfタンパク質の熱安定性が種間で著しく相違する事実を明らかにした。本研究ではこれら水産動物筋肉を食品として、貯蔵したり、加工するときに起こるMfタンパク質の変性の反応様式と速度および変性の分子機構を解析し,さらにそれらに影響を及ぼす各種の要因について検討した。現在まで得られた成果は以下のようである。 1.貯蔵中に起こる変性と制御:(1)Mfタンパク質の熱変性に対する温度、pH、尿素など各種細胞成分、および糖類や重合リン酸塩など各種食品添加物の影響を検討し、イ.変性反応の速度は昇温、酸性化、尿素の存在などにより速まり、ロ.OH基の多い糖や特定条件下の重合リン酸塩などによって遅くなることを明らかにした。次に(2)Mfタンパク質の冷凍変性における温度、pHおよび糖などの食品添加物の影響について検討し、イ.凍結よりも貯蔵温度の方が重要、ロ.pHは中性付近で、糖はOH基数の多いほど変性を遅くすることを明らかにした。 2.加工中における変性と制御:魚肉を高濃度のNacl中に浸漬、塩ずりした肉(肉糊)を加温、また塩漬後に乾燥する過程において起こるMfタンパク質の変化を検討した。結果として、 (1)魚類のMfタンパク質は高濃度の塩と反応すると、その過半量がアクチン(A)とMに解離すること、またこのAは例外なく変性するが、Mは魚種により変性する場合があることを認めた。 (2)塩ずり肉を加温するとMfタンパク質中のMが多量化するが、この多量化反応は肉糊のゲル化(坐り)の反応と強く関連することなどを明らかにした。また(3)塩漬した魚肉を乾燥すると、上記(2)と本質的に同じ反応が起こることを見出した。これらの成果は、水産動物の筋肉を貯蔵、加工するに際して品質の制御をするために、極めて重要である。
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