研究分担者 |
松田 彰 北海道大学, 薬学部, 助手 (90157313)
野村 哲士 北海道大学, 薬学部, 助教授 (10001041)
土田 清美 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (60088862)
井上 英夫 北海道大学, 薬学部, 助手 (80088856)
三浦 一伸 北海道大学, 薬学部, 助手 (70001980)
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研究概要 |
核酸,ヌクレオシド,ヌクレオチドがその利用酵素と結合(相互作用)する際のヌクレオシド部分の立体構造を明かにすることは酵素作用機序の解明やヌクレオシド系薬物の開発にとって基礎的に重要な課題である。我々はヌクレオシドにおけるグリコシル結合まわりのねじれ角が固定されたいわゆるシクロヌクレオシドがこの研究に役立つと期待し、炭素架橋シクロヌクレオシドの合成を企画した。我々はすでにヌクレオシドの炭素架橋に有効な反応を見出しているが、今回これらの一般化に成功した。併せてシクロヌクレオシドの生物活性の検討を行った。1.ピリミジンシクロヌクレオシドとそのリン酸エスルの合成。(1)6-シアノウリジンより6,5′-メタノシクロウリジンを合成した。(2)2′-ケトウリジン体のWittig反応とひきつずく環化により2′-デオキシ-6,2′-エタノウリジン,2′-デオキシ-6,2′-メタノウリジン,6,2′-メタノウリジンを合成した6,2′-体のねじれ角は268.1°であった。(3)6,3′-メタノウリジンとシチジン,6,3′-メタノチミジンの3-ケトリボース体よりの合成に成功した。(4)6,5′-シクロウリジン2′,3′-環状リン酸は膵臓リボヌクレアーゼの基質となり、水解物は阻害剤となった。即ちこの酵素はアンチ型のヌクレオシドを認識することが証明された。2.プリンシクロヌクレオシドの合成。(1)2′-ケトアデノシンより出発し2′-デオキシ-8,2′-エタノアデノシン,8,2′-メタノアデノシンなどを合成した。(2)8,2′-メタノグアノシン類を同様に合成した。(3)8,2′-シクロアデノシン類はアデノシンデアミナーゼの基質となった。3.その他上述の如く合成したシクロヌクレオシドのうち検定を行った化合物に関する限り特筆すべき抗ウィルス活性や制がん活性は認められなかったが、これはヌクレオシドにおけるグリコシル結合のねじれ角のためではなく、生体内リン酸化をうけにくいためと思われる。
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