研究課題/領域番号 |
59480016
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物形態・分類学
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研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
館岡 亜緒 科博, その他, その他 (10000118)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1985年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1984年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ミヤマヌカボ複合体 / 倍数性 / 細胞分類学 / 細胞地理学 |
研究概要 |
本研究は、地理的種分化と倍数性進化の両方を含むミヤマヌカボ複合体の分化の実体を追求し、えられた結果を日本の植物相の由来や発達の過程の解明に役立てることを目的としてなされたが、この複合体に属する植物は形態的に互いによく似ていて、実際の染色体数調査により、どの倍数レベルの植物がどこに分布しているかをまず解明する必要があった。本研究計画の3年間に、北海道各地をはじめとして、沢山の山域において採集調査をおこない、32地域個体群からの約800個体の染色体数を調べた。えられた結果を、本研究計画に着手する前にすでにえられていた結果とあわせてみると、2倍体(x=7)は九州から北海道にかけてもっとも広く分布し、4倍体は北海道中部と北部に限られ、6倍体は本州中〜北部のいくつかの山と北海道の山に、8倍体は本州中部以北の高山に分布していることが明らかになった。他に若干の山においての3倍体と7倍体の生起が見出された。 2倍体の地域個体群間の分化の実体などについては現在研究続行中である。外部形態の調査により、2倍体〜4倍体は種としてはミヤマヌカボに、本州産6倍体はタテヤマヌカボに、8倍体はコミヤマヌカボに属すること、そして北海道産6倍体は、8倍体コミヤマヌカボと区別できずそれと同種として扱われるべきことが確かめられた。タテヤマヌカボと北海道産6倍体は、より低倍数の植物の異なる組合せから生まれた複倍数体であろうとの推測、および北海道産6倍体は、現在北半球北部に広く分布している8倍体コミヤマヌカボの祖先の1つであろうとの推測がえられた。この北海道産6倍体の存在の明確化は、北海道山地の植物地理学上の重要さに示唆を与えた。つまり、北海道が氷期においての植物の避難場所として役立ったのではないかということと、現在極地に広がっている植物種の祖先的な系統を温存している地域ではないかということである。
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