研究課題/領域番号 |
59480062
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 敬司 九大, 農学部, 教授 (20117154)
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研究分担者 |
薛 孝夫 九州大学, 農学部, 助教授 (70117141)
丸谷 知己 九州大学, 農学部, 助手 (40112320)
溝田 智俊 九州大学, 農学部, 助手 (10089930)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1984年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 九州地方 / 火砕流 / 森林消失 / 浸透能 / ガリー侵食 / 大規模崩壊 / 地形変化 / 細土生成 |
研究概要 |
九州地方における山地を主な対象として、地形とそれを覇う土層の生成について研究をおこなった。九州地方においては、7.5×【10^4】年前の阿蘇火砕流,2.2×【10^4】年前の姶良火砕流によって、広域的かつ構造的に地形変化を受けていることが歴史的事実とされている。現存の地形や土壌は、その後に生成されたものが現在にまで到っているものと解釈される。 本研究においては、地理的に高密度の現地調査をおこない、多数の傍証から次の様なプロセスが推定された。阿蘇・姶良火山の火砕流は、高熱の熱雲として半径50〜100【km^2】の範囲を覆い、その下にあったすべての森林を消失させた。その結果、土壌の浸透能が低下し、急激なガリー侵食が進行した。このガリー侵食は、山体斜面内に深く貫入することによって、斜面の力学的支点を破壊し、多数の大規模崩壊を発生させた。その結果、それ以前の地形は大きく変化し、元の斜面から多量の土壌を喪失する結果となった。このような植生および斜面形の破壊の後、植生は再び徐々に回復しはじめ、その根系や落葉・落枝によって土粒子が捕促されるようになる。その結果、浸透能が回復し、さらにはガリー侵食が停止し、斜面崩壊も終見に向かったものと考えられる。 土壌喪失後から現在にいたるまでの時間は、化学的風化による細土の生成期間としては不足である。したがって、この過程においては、細土の生成は火山灰の供給によるものがほとんどであると推定される。すなわち現在の土壌のうち、礫質のものは基岩の物理的風化によって生成されたものであるが、細土質のものは火山灰の供給に基づいて生成されたものと推定される。現在の日本で発生する多くの崩壊現象は、多数の大規模崩壊が発生した時期の滑落崖あるいは崩落物に対しておこなわれている、小規模な侵食現象であると考えられた。
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