配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1985年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1984年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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研究概要 |
カポシ肉腫は皮膚をはじめリンパ節や内臓にも発正する血管成分に富んだ軟部組織の増殖性の病変である。地理病理学的にアフリカ風土病型,欧米古典型,AIDS流行病型の3型に分けられる。本研究ではカポシ肉腫の発生要因と病理学的本態を探るためにこれら3型の比較研究を行った。 1)病理学的本態:増殖する細胞の起源について第8因子をはじめとする各種因子の免疫病理学的検索によって、血管またはリンパ管内皮細胞であることが推定されるものの膠原線維を産生することもあるのでその起源は末分化な間葉系組織であることを伺わせた。また、AIDSにおいては血管もしくはリンパ管の内皮細胞のhyperplasiaの像を呈することもある。一方、アフリカ型のなかには小血管あるいはリンパ管内に増殖細胞塊つまり転移を示唆する病巣が見られることもある。すなわち、カポシ肉腫は良性から悪性の病変に至る性質を示すものと思われる。そして良性,悪性を決定する要因としては本疾病の経過や他の混合感染などが考えられた。 2)病理組織学的には、アフリカ型は紡錘型細胞優勢型が多く、欧米型やAIDS型は血管組織優勢型が多いようである。アフリカ原住民においてもAIDSに羅患すればAIDS型のカポシ肉腫が発生するとの情報もタンザニアから得ている。やはり疾患の時間的経過によるものと思われる。 3)アフリカ型の皮膚型では病理組織学的に非特異的炎症性肉芽組織,血管肉腫類似病変,そして線維肉腫類似病変への組織学的推移を示すようである。何らかの感染と関連があるものと思われる。4)地理病理学的に東アフリカのケニアでは原住民のカポシ肉腫の発生とバーキットリンパ腫とが地理的にも部族的にも一致していることを数値的に見出した。このことは、原因病原体をはじめ、地理的環境,人類生態,遺伝的素因など各種の要因が直接的間接的に両疾患の発生に関連しているものと思われる。
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