研究課題/領域番号 |
59480148
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 北海道大学 (1986) 東京大学 (1984-1985) |
研究代表者 |
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
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研究分担者 |
藤岡 保範 北海道大学, 医学部, 講師 (40002282)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1984年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | JCウイルス / 小脳髄芽腫 / 分子クローニング / インサイト・ハイブリダイゼーション / 制限酵素 / 塩基配列 / エンハンサー |
研究概要 |
本邦にてはじめて分離培養したJCウイルス(Tokyo-1株:以上JCTと略)はハムスター脳に高率に脳腫瘍を誘発することが判明した。なかでもヒト小児の悪性腫瘍である小脳髄芽腫が常に誘発される事、外国にて分離されたJCウイルスに比し腫瘍誘発宿主域が広い事、および腫瘍誘発率が高い事が判明したのでそれぞれの項目につきウイルス遺伝子学的な検討を行った。 1.JCウイルスによる髄芽腫発生母細胞に関する研究:JCTのDNAをクローニングし、T抗原のmRNAをインサイト・ハイブリダイゼーション法にて検出する方法を確立し、JCT感染後腫瘍発生するまでの期間をハムスター小脳にて検索した。その結果、小脳外顆粒層細胞が内顆粒層へと移動している過程にJCTのmRNAを検出し得た。以上の所見から生後1日目に外顆粒層に存在する細胞がウイルスゲノムを持ったまま内顆粒層へと移動し、そこから腫瘍が発生する事を証明し得た。 2.JCTと外国での分離ウイルスとの相異点をヒトPML-脳より直接抽出したDNAおよび継代培養後のウイルスDNAとを各種制限酵素にて切断し、DNA切断部位の差を検討した。その結果、Hinc【II】,Pvu【II】にてそれぞれ2個所に分断される特徴がJCTにあった。この事はJCTの腫瘍宿主域の広さを示すものと思われた。 3.JCTの高い腫瘍原性を調べるためDNA初期の塩基配列を決定して他種との比較を行った。その結果、JCTではプロモーター領域に続き23塩基対の挿入がみられ、かつこの塩基配列はエンハンサーに相当することが判明した。従ってこのエンハンサーの挿入が高い腫瘍原性に関連しているものと推測された。
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