研究分担者 |
荒川 靖子 聖路加看護大学, 成人看護学, 講師
小松 浩子 聖路加看護大学, 成人看護学, 講師 (60158300)
田村 正枝 聖路加看護大学, 成人看護学, 講師 (30155270)
岩井 郁子 聖路加看護大学, 成人看護学, 助教授 (30095947)
日野原 重明 聖路加看護大学, 学長 (70054575)
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研究概要 |
本研究は昭和59年度から3年間、高血圧を合併している手術患者の術前術後の血圧変動をもたらす因子および変動状態を明らかにし、血圧変動を少なくする看護プログラムを作成することを目的として行われた。 1.血圧変動状態の測定と血圧変動因子の解明:本研究の基礎資料を得るために病歴および面接(医師・看護婦)調査を行った。それらの結果と文献検索の知見をもとに看護上操作可能と考えられる14因子を設定し、開腹術をうける高血圧症患者5名と正常血圧患者10名を対象に、術前術後の血圧変動状態の測定を行った。経日的血圧変動幅は両群とも術後1日目が最大で以後漸減し、手術侵襲による影響を示した。変動因子による血圧変動幅は胃チューブ挿入(最大30mmHg),離床(28mmHg),清拭(8.5mmHg)時に大きく、高血圧群に著明であった。心電図所見には大きな変化はみられなかった。。 2.看護プログラム試案の作成:1の分析結果と文献検索の知見から、看護介入により血圧変動を少なくできると考えられた7項目の血圧変動因子(術前不安,浣腸,胃チューブ挿入,体位変換,ネブライザー・咳嗽,清拭,離床)に対し、用具・方法の工夫と筋弛緩法を組み合わせた試案を作成した。 3.看護プログラム試案の検証:7名の開腹術をうける高血圧症患者に対して看護プログラム試案を延べ152件適用した。その結果、経日的血圧変動幅は非適用群に比べて全体的に小さい傾向にあった。血圧変動が著明であった胃チューブ挿入時の血圧変動率は、試案適用により15%の減少を示した。その他の血圧変動因子に対する血圧変動率もその適用により2〜13%の減少がみられた。これらの結果をもとに、看護プログラムを一部修正して5名の高血圧症患者に適用し検証を重ねた。その結果、血圧変動の著明であった胃チューブ挿入、離床において、従来の看護プログラム試案適用群に比べて実験群の血圧変動率は小さい傾向にあった。
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