研究概要 |
野菜類(ニンジン,カブ,ダイコン,セロリー及びキャベツ)を試料とし、食物繊維(セルロース,ヘミセルロース,リグニン及びペクチン質)を定量するとともに、とくに、ペクチン質の理化学的性質と機能特性について検討し、以下のような結果を得た。 1.食物繊維の定量:数種の定量法があるが、本実験では、炭水化物の分類に合わせて抽出する貝沼らの方法を採用し、定量を行った。多くの定量法と同様に、貝沼らの方法においても、各画分の可溶性及び不溶性ペクチン質を無視し、定量値には示されていない。この点に着目し、貝沼らの方法に、ペクチン質の併列定量を試みたところ、満足すべき結果が得られた。 2.ペクチン質の理化学的性質:(1)ニンジン及びカブから、異なるpHでペクチン質を抽出調整した結果、pHが低いほど、無水ガラクチュロン酸含量が多く、分子量が大で、メトキシル含量も高かった。ペクチン質中の中性糖含量は3.0〜7.5%で、マンノース含量の比率が高く、つづいて、キシロース,アラビノース,フラクトースの順に多かった。(2)抽出したペクチン質の重量平均分子量は、ニンジンでは16.2〜18.9×【10^4】,カブでは10.6×【10^4】であり、慣性半径は、ニンジンでは248〜279【A!°】,カブでは214【A!°】であった。(3)ペクチン質におよぼす加熱とpHの影響を検討した結果、溶液粘度は、pH3以下とpH6以上で低下し、また、加熱時間が長いほど、急速に低下した。 3.ペクチン質の機能特性:(1)ペクチン質のイオン交換反応について検討したが、【Ca^(2+)】,【Mg^(2+)】,【Na^+】【K^+】について、イオン毎に異なった濃度依存性が認められた。(2)示差走査熱量計を用いて、ペクチン質の熱的性質を検討した。 4.今後の研究の展開:(1)各種野菜の食物繊維(含ペクチン質)の定量を行いたい。(2)体内での各種生理作用及び調理加工上からも重要なペクチン質のイオン交換反応を詳細に検討したい。
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