研究概要 |
1.広島大学附属三原幼稚園での実践的研究 幼稚園での日常の保育場面で、幼児の望ましい行動を形成し、望ましくない行動の改善を図るためには、適切で効果的な指導方法を適用する必要がある。本研究では、担任教師が各クラスで当面し、保育の課題として研究の興味をもっている行動,例えば「ボール遊びで身体動作を育える」「ラジオ聴取時の不適切な行動を治す」などをターゲット行動として取り上げ、その形成ないし改善に行動変容法を適用することを試みた。なお、幼児と教師の行動の観察・記録,及び結果の集計・整理には大学院の協力を得ることができた。 さらに、2人の大学院生は、幼児の「空間関係概念の習得」「保存概念の習得」に関する指導プログラムを作成し、連続強化スケジュールによるシェイピング技法によって、諸概念を効果的に習得させうることを確認した。これらの実践的研究や実験的研究の結果、ターゲット行動を特定し、実態に即した指導プログラムを作成し、教師の働きかけ方と応え方を工夫することは物的環境(教材を含む)を工夫することとともに、行動の形成・改善に有効であることが確認された。 2.実践事例の収集 諸外国(とくにアメリカ)の文献に報告された実践事例のうちから、(1)健常幼児を対象として、(2)幼稚園・保育所・家庭などで、(3)行動変容法を適用したもの、(4)そして、わが国の幼稚園・保育所・家庭での実践に示唆を与えてくれるものを選んで紹介することにした。その一部は、上逑の附属三原幼稚園での実践事例の一部を含めて、河合の拙著(「子どもの保育と行動分析」川島書店 昭和61年)に収録された。 その後も実践事例の収集を継続しており、できるだけ早い時期に、実践事例集の形で保育関係者に紹介したい。
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