研究概要 |
昭和59年度から61年度にかけて(1)歌詞資料の収集、(2)歌謡分類カードの作成、(3)歌唱法(歌唱主体の性格・役割)などを研究調査した。 1歌詞資料の収集 既刊の文献に収録されている歌詞資料を収集した。また、宮古諸島の平良市字池間,上野村,多良間村,伊良部町字伊良部,八重山諸島の石垣市字大浜,竹富町字西表租納,与那国町の臨地調査を行ない、音声資料を収集した。 2歌謡分類カードの作成 文献資料と翻字した音声資料を一首ずつカード化し、歌唱法に従って分類した。 3歌唱法 歌唱主体の性格・役割については臨地調査によって確認した。上述地点における調査の結果、歌唱主体になるための資格・条件が特定の人物に限定されているばあいと自由なばあいがあること、また、歌唱主体の役割には(1)ムトゥバールなどと呼ばれる少数の先導者とウティガールなどと呼ばれる多数の追随者に分かれる,(2)等質的な二組に分かれる,(3)組織の分化がなく集団全員が同一の役割をはたす,(4)個人で歌唱する,といった種類があることが確認できた。歌唱主体の性格・役割と関連して、南島歌謡の歌唱法には(1)復唱法,(2)分担歌唱法,(3)交互歌唱法,(4)斉唱法,(5)独唱法の五種類が基本的に存在し、これらの基本形をもとにした組合わせの歌唱法も存在する。そして、歌謡ごとに歌唱法は一定している。また、地域的な特徴として、宮古諸島は復唱法・分担歌唱法が多く、八重山諸島は交互歌唱法・分担歌唱法が多いことが指摘できる。 以上の研究成果の一部として「八重山歌謡の歌唱法」「多良間歌謡の歌唱法」を公表した。
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