研究概要 |
最近新しい強誘電性液晶が、次々と合成されて、応用的及び物性的研究が、さかんに行なわれている。強誘電相であるスメクチックC相では、液晶分子は層状に配列していて、分子軸の方向は、少し傾むいていて、各層ごと少しづつ回転しているようなラセン構造になっている。このラセン構造は、相転移の際、異常な変化をする。この変化は、強誘電体の整合・不整合転移の場合と同じように、ソリトンの発生と考えて理論的に解析できる。我々は、顕微鏡による光学的観測や、電子スピン共鳴などの方法によって、実験的に、【S_A】-【Sc^*】相転移におけるソリトン的液晶構造を調べることを目的とした。 1 示差走査熱量計(DSC)によって、液晶HS-927SOとHS-928SOの相転移を測定し、【Sc^*】相の確認をした。 2 LCRメーターを使って、厚いセルにおける誘電率の周波数特性及び温度変化を測定した。バイアス電場を加えて、強誘電相の誘電率の変化を調べた。 3 偏光顕微鏡,ビデオカメラ(カラー・モノクロ),フレーム・メモリーからなる観測システムを作り、コンピュータに取り込んで処理できるようにした。またビデオレコレダーに録画して動的変化も記録できる。前記の液晶の結晶-【S_A】相-液体相-【S_A】相-【Sc^*】相-結晶相と変る相転移における構造の変化を観察し、ビデオフィルムに記録した。これらの成果を報告書にまとめた。
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