研究課題/領域番号 |
59540474
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 龍夫 兵庫医大, 医学部, 助手 (90068544)
|
研究期間 (年度) |
1984 – 1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1985年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1984年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 視物質 / ビタミン【A_1】 / ビタミン【A_2】 / レチナール / 3-デヒドロレチナール / ロドプシン / ポルフィロプシン |
研究概要 |
本研究は「ビタミン【A_1】・【A_2】視物質変換系は系統発生上のある段階以上のヒトを含めたすべての動物に普遍的に存在する」という仮説のもとに、無脊椎動物甲殻類と脊椎動物哺乳類の動物2種(アメリカザリガニとマウス)についてこの変換系の存在を実験的に証明しようとしたものである。 アメリカザリガニを光と温度条件をかえたバイオトロン内で長期飼育し、視物質クロモホアの変化を調べた。3-デヒドロレチナールは光の有無にかかわらず低温条件で生合成され、高温条件で光が存在する場合急速にレチナールに転換された。この結果から、アメリカザリガニにはビタミン【A_1】・【A_2】視物質系が存在し、これを調節する因子としては温度が第一義的に重要であり、光は副次的に作用する事が明らかになった。 マウスに関しては、ビタミンA欠乏マウスを作成し、これに合成ビタミン【A_2】を腹腔内投与した。投与ビタミン【A_2】はパルミチン酸エステルとして肝に取込まれ、さらに3-デヒドロレチナールになり視物質クロモホアとして網膜に取込まれた。3-デヒドロレチナールは全クロモホアの95%をしめ、6週間の長期実験においてもこの割合に変化はなかった。ビタミン【A_1】と【A_2】の混合物を投与した場合は、網膜【A_2】比は肝【A_2】比よりずっと低く、視物質クロモホアとしてはビタミン【A_1】の方が効率よく利用される事がわかった。この結果から、マウスでは体内でビタミン【A_2】は【A_1】に転換されず、両者が混在する場合は網膜では【A_1】が選択的に使われている事が明らかになった。この結論は先の仮説を否定するだけでなく、以前の研究者の報告とも対立するものである。ヒトの皮膚でビタミン【A_1】が【A_2】に転換されるという一連の報告があるので、哺乳類に関してはさらに幅広い研究が必要である。 本期間中の比較生化学研究の結果、新たに淡水ザリガニ2種とホタルイカにおいて【A_2】視物質が発見された。
|