研究概要 |
本研究はパネル崩壊型骨組の耐震性およびパネルの耐力上昇性状を明かにすることを目的として、柱(またははり)フランジ幅厚比がFA,FBランク(8〜12)に属し、パネル性(またははり)強度比αが0.2〜0.6となる柱はり接合部分解架構の単調および繰返し載荷実験を行った。ここで、採用した主なパラメータは上記以外に柱(またははり)のウェブまたはパネル幅厚比(20〜50),柱軸力比(0.0,0.3),骨組形状(Tまたは十字型)である。単調載荷実験については有限要素法(FEM)も行っている。以上の実験および解析により以下の点が明かとなった。1)本研究で採用したFEM解析法は実験結果を十分な精度で追跡しうることが示された。2)パネル降伏後の周辺部材による補強量は、主に柱はり溶接継目部に結合する柱側またははり側におけるフランジとスチフナの終局曲げ耐力和に支配されると考えられるが、継目部近傍のフランジおよびスチフナにおけるせん断力が0.15〜0.25Qfyと大きいため、交さ部付近に剛域または非降伏域などが存在する場合には、更に局部曲げ耐力を増加させる可能性がある。3)パネルの変形分担率は単調・繰返しともα≦0.4で80%以上確保される。4)パネルの最大靭性率(γ/γy)は単調載荷時α≦0.4で40以上と大きく十分な塑性変形能力を有する。しかし、FBランクに属する骨組の繰返し載荷時ではα≦0.4で15〜35とかなり低くなる。
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