研究概要 |
1.人間の精神的動揺を精神作業成績及び妨害感の測面より把握し、室内騒音評価を行うために、本年度では都市において最も重要な道路交通騒音を取り上げ、その影響を暗算・図形数之・時間感覚の三種の作業成績と妨害感に関して実験により調べた。また、人間側の属性として、向性及び神経症的傾向の性格を調べ、作業成績及び妨害感との関係を求めた。2.道路交通騒音の物理的特性を把握するために、都内外の主要幹線道路及び一般市街地道路合計20ヶ所において騒音測定を実施し、騒音レベル(LAeq),騒音レベル変動特性及び交通量・大型車混入率を調べた。この結果、交通量及び大型車混入率は必ずしも騒音レベルと相関しないこと、騒音レベル変動スペクトルには明かにピークのある交差点周辺騒音,概してローレンツ型に近似したスペクトルを示す一般市街地道路騒音,概して平坦なスペクトルを示す高速道路騒音の大別三種のスペクトルがあることが分った。また、騒音レベル変動特性の騒音レベル変動標準偏差,平均レベル差,変動幅,15秒間平均立上り勾配,同立下り勾配及びそれらの標準偏差,散分度等の間には相関関係が高く成立することが分った。以上を考慮して、騒音レベル変動特性の異なる6種の道路交通騒音及びピンクノイズに関し、騒音レベル40〜70dB(A),Leq(10分)4水準を被験者20名について実験した。3.作業妨害感は音の大きさ,うるささ,気になる程度と同様に騒音レベルの上昇と共に増大するが、騒音レベル変動の少ない高速道路騒音の影響は、同一騒音レベルにおいて同変動の大きい一般市街地道路よりも低い傾向にあり、これは気になる程度と非常に近似した傾向であること、暗算成績は60dB(A),Leqのとき若干妨害的である逆U字型を示すこと、内向的あるいは神経症傾向の大の人は、作業妨害感が高く、作業量も少ない傾向にあることが明らかとなった。今後更に性格と騒音影響の関連解明が必要である。
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