研究概要 |
Wistar系ラット大脳皮質にコバルト粉およびカイニン酸による実験的てんかんfocusを作製し、グリアの【Na^+】-【K^+】pump機構を昭和59年〜61年にわたって電気生理学的,神経化学的,並びに組織化学的的手法を用いて検索した。そして以下の如く成績を得た。1)皮質スライス標本を用い、灌流液の【K^+】イオン濃度を4mMから4pmMまでstepwiseに上昇させた場合、〔【K^+】〕。に対してプロットしたグリアの膜電位の平均slopeはnormal及びカイニン酸(3週後)cortexで約57mV,epileptogenic cortex〔コバルト及びカイニン酸(1週後)〕で約44mVだった。2)用いた総ての標本のグリアの静止膜電位はほぼ同値を示した。3)Epileptogenic cortexにおけるhigh〔【K^+】〕。をnormalmediumで置換した時、normalあるいはカイニン酸注入後3週に比し非常に大きなグリアの一過性過分極層を形成した。この過分極層はouabainによって平常化した。4)Normal〔【K^+】〕。時の膜電位はouabainに影響されなかった。5)〔【Na^+】〕。,〔【Cl^-】〕。,〔【Ca^(2+)】〕。を変化しても膜電位に有意ある変動を惹起しなかった。6)normal及びカイニン酸注入3週の皮質のHRP-marked gliaは殆んどprotoplasmic astnocyteだった。これに対してepileptogenic cortexではfibrousastnocyteが占有した。7)Epileptogenic cortexのastnocyte分画の(【Na^+】,【K^+】)-ATPaseactivixyは他の皮膜よりの分画に比し高値を示した。膜分画標本についても同様の所見だった。8)【K^+】-pNPPase pnuductsはepileptogenic cortexのグリアではendoplasmic reticulumと細胞膜上に認められたが、他の標本ではerdoplasmicreticulumのみにreaction productが観察された。 以上の所見はepileptogenic cortexのグリア細胞には【Na^+】-【K^+】pumpが存在し、グリアはニューロン発火による大量のspatial 【K^+】accumulation防止に役割を果していることを示唆している。
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