研究課題/領域番号 |
59570129
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 正春 (1986) 東大, 医学部, 助手 (50162269)
青木 直人 (1984-1985) 東京大学, 医学部, 助手
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研究分担者 |
青山 弘 東京大学, 医学部, 助手 (50167805)
青木 直人 東京大学, 医学部, 助手 (20159289)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1985年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1984年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルス(HBV) / DNA / HBV-DNA組込み / 肝癌 / 肝硬変 / 多中心性発生肝癌 / 肝細胞増生 / クローン |
研究概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)感染とヒト肝癌発生との密接な関係が指摘されてすでに久しく、また、HBVキャリアーから発生した肝癌のDNAにはきわめて高率にHBV-DNAが組込まれていることは周知の事実となっている。そこで、HBVの肝癌細胞遺伝子への組込み様式を肝癌の中の各クローンの違いのマーカーとして、肝癌組織DNAを検索することにより、各肝癌組織の細胞起源の異同を検討した。その結果、長年決着のつけられなかった問題である肝癌の多中心性発生について、分子レベルでの一つの解答を得ることができた。すなわち、肉眼的に多中心性肝癌の一型とされれてきた肝癌の1例において、HBV-DNAの組込み様式の差が肝内の異なる肝癌結節間において示され、この例における多中心性発生を裏付ける有力な証拠となった。これは、私共の知る限りにおいて、肝癌の多中心性発生が分子レベルで示された最初の例である。またこれとは別に、肝癌の発生母地の1つと考えられている肝硬変の各結節間でのHBV-DNAの増殖様式および組込み様式を検討した結果、検索された3例においては、各結節間において、HBV-DNAの増殖様式および組込み様式ともに多様性がみられた。この結果は、HBV-DNAの組込み様式が肝硬変の結節により異なることを示し、おそらく、各肝細胞毎に異なると思われる。また、組込まれたHBV-DNAが明瞭なバンドとして検出されたことは、肝硬変の各結節内でHBV-DNAの組込みを有する肝細胞がクローナルな増生をしていると解釈される。また、HBV-DNAの増殖が各結節毎に異なることは、生検材料等の小さな材料を用いてHBV-DNAの検索をする際には、この現象を十分考慮してその解釈にあたることが必要であることを示唆している。
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