研究概要 |
大黄,桂皮,茶(緑茶,烏龍茶,紅茶),ザクロ,ウラジロガシ,ホルトノキ並びに台湾産生薬(水筆樹皮,薯榔,西博氏柳皮)のタンニン類及びそれらの関連化合物に関して化学的検討を行った。 その結果、各種の市場大黄から新化合物としてflauan-3-al3種,procyanidinglucoside3種,proanthocyanidin1種及びproanthocyanidin dimerのgallate7種を単離しそれらの構造を決定した。種々の桂皮のうち、特に日本桂皮からは4種の新化合物を含む15種の縮合型タンニンを単離した。これらのうち2種の3量体はいづれも強い甘味を有する点でこれまでのタンニン類とは異なり、極めて興味ある化合物である。また広南,東興,ベトナム,セイロン,日本桂皮の5種の桂皮について、皮粉法による総タンニンの定量並びに新しく開発したHPLC法によるprocyanidin類の分離定量を行い、桂皮の種類によりタンニンの含量,組成に明確な差異があることを明らかにした。各種の茶については合計40種余のポリフェノール類を単離しそれらの構造を決定した。さらに茶の種類によりポリフェノール含量、組成に著しい差異を認め、これらを比較検討することにより茶の発酵過程におけるポリフェノール類の酸化様式を明らかにした。ザクロに関しては各部位によりタンニン構成が異なることを見い出し、特に樹皮、葉について抽出を行い、前者から13種、後者から7種の加水分解型タンニンを単離構造決定した。これらのうち6種は新化合物であり、2種については従来提出されていた構造式を訂正した。ウラジロガシ樹皮からは39種の新化合物を含む68種の化合物を単離し、新しい型のタンニンの存在を明らかにした。ホルトノキからは構造化学的に、又生合成的に極めて興味ある新奇タンニンelaeocarpusinを単離構造決定した。3種の台湾産生薬からは28種の新化合物を含む51種のタンニンン及び関連化合物を単離し、構造を解明した。
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