研究概要 |
ネジ切盤およびネジ研削盤において、加工されたネジのリード誤差の発生原因となる工作物の回転運動と工具の直線送り運動間の同期誤差に着目した振動解析法を新たに考案して研究を続けた結果、以下の成果が得られた。 1.新たに考案したネジ切り加工用振動解析法は、1)ねじり静特性試験2)ねじり動特性試験,3)断続切削試験,4)空転試験,5)ネジ切試験の5項目である。 2.切削加振によるねじり動特性試験により、従来測定が困難であった工具・工作物間駆動系全体のねじり固有振動数を求めることができ、断続切削試験によりそのねじり固有振動数を確認できる。 3.空転試験およびネジ切試験において、同期誤差の記録結果を周波数分析したのち駆動系統図と対照することにより、ネジ切精度に影響する駆動系箇所が明確にできる。この手法はネジ切盤の設備診断技術として応用できる。 4.ネジ切盤の駆動系を改良して空転試験およびネジ切試験を実施した結果、同期誤差の原因箇所が改善でき、駆動系のねじり固有振動数は僅かに高周波数側に移動することが確認できた。 5.新たに考案したネジ研削加工用振動解析法は、1)空転試験,2)急停止試験,3)ネジ研削試験 の3項目からなっている。 6.空転試験およびネジ研削試験において、同期誤差の記録結果を周波数分析したのち駆動系統図と対照することにより、ネジ研削精度に影響する駆動系箇所が明確にできる。この手法はネジ研削盤の設備診断技術として応用できる。 供試ネジ研削盤の場合、空転時の同期誤差の原因箇所はテーブルの送り方向により異なるが、研削時には送り方向によらず1箇所が同期誤差の原因となり、テーブル駆動用送りネジの1回転が研削されたネジのリード誤差の主成分と確認できた。
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