研究課題/領域番号 |
59850050
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
安田 幸夫 豊橋技術科学大学, 工, 教授 (60126951)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
1985年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1984年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | SOS膜 / 弗素イオン / イオン注入 / MOSFET / 移動度 / ドレイン漏れ電流 / VLSI |
研究概要 |
弗素イオン(【F^+】)注入を用いたSOS膜の膜質の改善及びSOS・MOSFETの電気的特性の改善について調べ、サブミクロンVLSIデバイスへの本技術の応用の可能性について検討した。 本研究の結果より、【F^+】注入されたSOS膜では、注入条件や熱処理温度、プロセス条件等によりMOSFETの電気的特性に与える影響が異なることが明らかとなった。 【F^+】注入されたSOS膜には、アクセプタ型の深い準位が形成される。 この深い準位の性質は、素子製作プロセス条件によって異なるが、特にプロセス中の酸化工程と注入工程の関係により著しく影響される。 すなわち、【F^+】注入後に酸化を行なう場合と、酸化後に【F^+】注入を行なう場合とでは、形成されるアクセプタ準位のエネルギ位置や密度、移動度に対する影響等が異なる。 【F^+】注入後に酸化を行なった場合には伝導帯から0.49eV、酸化後に【F^+】注入した場合には0.21eVに準位が形成され、密度は後者が前者の1/5程度である。移動度に対する影響は前者の場合の方が大きいが、特にSi-Si【O_2】界面付近で移動度が増加する傾向がある。 また、ドレイン漏れ電流は、【F^+】注入により常に1/2〜1/10減少することが明らかとなった。 as-grownの試料では、ゲート長の低下とともにドレイン電流が増大するが、【F^+】注入した試料ではゲート長に対するドレイン漏れ電流の依存性が非常に小さくなる。 これは、注入されたF原子がSi-サファイア界面の欠陥のダングリングボンドを不活性にするため、界面を流れるバックチャネル電流が減少したことによると考えられる。 以上の結果を基礎にして【F^+】注入条件及び素子作製プロセスの最適化を行なった結果、移動度及びしきい値電圧のばらつきを小さくし、かつドレイン漏れ電流を減少させる可能性を見い出した。 本研究で開発した技術は、極めて薄いSOS膜の特性の改善のみならず、SOI基板への応用も考えられ、サブミクロンVLSIにとって極めて重要な技術であろう。
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