研究概要 |
水を込物として使う爆破技術がある。アクアブラスティングなどという名で露天採掘発破でも使用が試みられている。しかし、水の込物としての効果や、そのメカニズムについてはよくわかっていない。本研究では、水の込物の効果とその原理を追求し、水を込物として使用する爆破技術を確立することを目的とした。 小型のコンクリート・モルタル・ブロックと雷管を用いた爆破試験の結果では、水が込物としてきわめてよい性能を示すことが得られた。空気,空隙の大きい砂,水,比重を1.5 程度にまで高めた粘性液体を込物として用いると、爆薬の周囲が空気であるか、水であるかによって、モルタル・ブロック内を伝播する爆轟応力波の加速度振幅に著るしい差が見られる。この効果を端的に表わすのがそれぞれの音響学的インピーダンスであるが、水,空気,そして岩石(モルタル)は、常温常圧下ではそれぞれ150,000g/【cm^2】・S,39.60g/【cm^2】・S,770,000g/【cm^2】・Sであり、水が爆轟応力波の伝播の媒体として空気より優れていることがよくわかる。 また、爆破孔の込物としての水を考えると、爆薬が爆轟した場合、水は爆薬周囲を完全に閉塞しているので、爆薬は密装填の状態になっているとしてよい。しかし、その後の爆轟ガスの膨脹に対しては、水は単に慣性力としてのみ働き、砂や粘土などのように摩擦抵抗による効果を期待することはできない。このことは上記の実験においても、それぞれの場合の亀裂の観察から明瞭に知ることができた。 以上、今回の研究の目的はほぼ達したと考えるが、他にも、雷管の高温高圧のガスを直接に受けたセメンタイトが方解石に変化する現象や、比重を高めた粘性液体を水の代りとして、実際の亀裂のある岩盤でする可能性など、いくつかの顕著な興味ある結果を得ることができた。
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