研究課題/領域番号 |
59850123
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
溶接工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒木 孝雄 大阪大学, 工, 助教授 (70029312)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1984年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 液体金属脆化 / 定荷重試験 / 破壊の時間依存性 / 熱活性化過程 / 表面エネルギー / 粒界破壊 / 破壊時間の推定法 / 液体金属の硬さ依存性 |
研究概要 |
本研究は送電用鋼管鉄塔の主柱材など溶接構造物において防食用として亜鉛めっきがなされるが、それにより生じる液体金属脆化ならびにその防止法を検討した。実験はSTK55機を用い、母機および再現HAZ部につき、溶融亜鉛中の定荷重引張試験(以下SLTと略す)により行った。また、亜鉛の溶融点以下でもSLTを実施した。この実験により、液体金属脆化による破壊挙動、破壊の反応速度論的解析、破壊における表面エネルギー、および、この脆化の機構を検討した。さらに、硬さ、結晶粒、試験温度、破断時間による液体金属脆化が生じる破断応力を推定し、防止条件を明らかとした。 HAZの液体金属脆化は熱履歴にかかわらず、熱活性化過程であり、破断の感受性は硬さの影響を受ける。HAZの中でも粗粒域で割れが生じやすく、実構造物でのその割れ発生位置と一致した。溶融亜鉛中では、鋼の粒界でのFe-Zn界面エネルギーはFe固体中の界面エネルギーに比して1/15に低下する。液体金属脆化の反応速度過程は活性化エネルギーの検討により、鋼中への亜鉛の粒界拡散により支配される。これらの結果から、液体金属脆化は亜鉛の鋼粒界への拡散により生じるFe-Zn界面エネルギーの低下によるものと考えられる。 溶融亜鉛中での鋼および溶接部の破壊応力はビウカース硬さならびに結晶粒径に依存するが、とくに硬さとの依存性が強く、これにより液体金属脆化の防止条件が推定される。したがって、液体金属脆化は 【Γ_F】/【Γ_(yB)】:RT=1.12-0.00164Hv の式により評価され、硬さが280になるよう熱処理することにより防止することが明確となり、熱履歴に対して処理を付す防止法を確立した。
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