研究概要 |
本研究はアークイメージクローティングゾーン法を用い、実用的に重要でしかも複雑な組成をもつ認意のペログスカイト型化合物半導体の単結晶を育成する技術を確立し、十分にキャラクタリゼーションされた材料を各方面の研究者に供給できる体制を整備することを目的としている。このため、まず種々の化合物単結晶の育成について装置の改良を行い、運転のノウハウを蓄積し、育成した結晶の評価技術の開発と改良に努めた。主な研究成果の概要を以下に記す。 1. アークイメージクローティングゾーン法により【Sm_2】【O_3】-Zr【O_2】固溶体、【Y_2】【O_3】-Zr【O_2】固溶体,【Cr_2】【O_3】-【Al_2】【O_3】固溶体、BaTi【O_3】,CaTi【O_3】,Laを添加したSrTi【O_3】,Ybを添加したSrCe【O_3】などのペロブスカイト型化合物、各種ラニタノイド元素のミニ酸化物(【Ln_2】【O_3】)などの高品質単結晶の育成に成功した。 2. 育成した結晶について電気的および機械的性質を調べた。6モル%の【YO_(1.5)】を含むジルコニア結晶では2100MPaの世界的水準の曲げ強度を達成した。ジルコニア結晶中の正方晶相単味の電気伝導度を推定し、その活性化エネルギーが立方晶系相のそれより低いことを明らかにした。Ybを添加したSrCe【O_3】はプロトン導電性を示すことを確認した。 3. エネルギー分散型X線検出器を備えた高分解能透過型電子顕微鏡,走査型電子顕微鏡,化学エッチング法,X線トポグラフ法,四軸型自動X線回折計などを用いて結晶の微構造と組成を調べた。従来よく知られていなかったイットリア部分安定化ジルコニアやSrCe【O_3】結晶の構造を解明した。化学エッチング法とSEM観察を併用することにより、微細組織の観察が極めて容易になることを明らかにした。
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