研究課題/領域番号 |
59850133
|
研究種目 |
試験研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工業物理化学・複合材料
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斉藤 泰和 東大, 生産技術研究所, 教授 (10010761)
|
研究分担者 |
栗田 学 石川島播磨重工業(株), 技術研究所, 技師長
鈴木 実 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00163006)
|
研究期間 (年度) |
1984 – 1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
28,600千円 (直接経費: 28,600千円)
1986年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1985年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1984年度: 12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
|
キーワード | 微粒触媒 / ケミカルヒートポンプ / 2-プロパノール脱水素 / 冷却分離 / アセトン水素化 / 地熱排熱利用 / シクロヘキサン脱水素 / 水素輸送システム / 2-プロパノール / シクロヘキサン / 液相脱水素 / 微粒金属ニッケル触媒 / 水素輸送 / 水素貯蔵 |
研究概要 |
高性能触媒の作用により、速やかにかつ選択的に【H_2】を出入れできる有機化合物は、C-H結合の形成と開裂に伴なうエンタルピー変化が大きく、しかも気液相変化を介する操作性がよいため、新しいケミカルヒートポンプあるいは水素貯蔵輸送の作動物質として、興味ある特質を備えている。なかでも、200゜Cで進むアセトンの水素化発熱反応、30゜C冷却による生成2-プロパノールの凝縮分離、そして80゜Cの熱供給を受けて進行する2-プロパノール液相脱水素反応の組合せに注目したケミカルヒートポンプシステムは、低品位熱を効率よく高い温度へ一挙にあげることができるので、地熱排熱水・工場廃熱などの有効利用に極めて効果的であると評価された。鍵となるのは高活性・高選択性・長寿命の触媒の開発であって、約20nm径の微粒金属ニッケルが本システムによく適合するものとわかった。すなわち、2-プロパノールに懸濁させた状態で還流加熱すればアセトンと水素のみが生成し、かつ2-プロパノール・アセトン等量混合溶液(沸点64゜C)でも反応の進行することが確かめられた。前処理中、ニッケル表面の一部を白金,イリジウム,ルテニウムなどで修飾すると、脱水素活性はさらに向上した。一方、同じ微粒金属ニッケルを多孔性活性炭に担持すると、固気相不均一系アセトン水素化触媒になり、高温発熱過程に使用できることが、実験的に確認された。 シグロヘキサンおよびメチルシクロヘキサン液相脱水素反応に対しても微粒金属ニッケル懸濁触媒は活性を示し、それぞれ選択的に水素とベンゼンおよびトルエンを与えるので、逆反応との組合せで有機化合物を媒体とする水素の貯蔵・輸送システムが構成される。低品位熱により作動し、水素貯蔵密度が高く安全という優れた特質をもつ一面、脱水素過程において炭素質の表面沈積に伴なう失活があり、水素によるメタンとして除く再賦活はあるものの、なお触媒化学的課題が残されている。
|