研究課題/領域番号 |
59850143
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 鉄雄 京都大学, 工, 助教授 (10025992)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1985年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1984年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 選択的共役還元 / 銅接触共役還元 / 水素化ジイソブチルアルミニウム共役還元 |
研究概要 |
i-【Bu_2】AlH(DIBAH)は有機合成で繁用される還元剤で、α、β-不飽和カルボニル化合物のカルボニル基を還元してアリルアルコールを生成する。われわれは配位子量のヘキサメチルりん酸トリアミド(HMPA)を共存させるとDIBAHの還元反応性が著しく変わり、カルボニル基の還元を行うことなくカルボニル基に共役した炭素-炭素二重結合の共役還元を行うことを見出した。さらにこのDIBAH-HMPA系に触媒量のメチル銅(MeCu)を添加すると共役還元反応性が著しく高められることがわかった。このα、β-不飽和カルボニル化合物の新しい共役還元剤、DIBAH-HMPAおよびMeCu-DIBAH-HMPAの適用範囲は広く、種々のα、β-不飽和アルデヒド、ケトン、エステルに用いることができ、β-炭素上の置換基の存在によっても影響されないことがわかった。 このように官能基選択性にすぐれたMeCu-DIBAH-HMPAはまたステロイドおよび関連化合物である隅角メチル基を有するヒドリンデノンの立体選択的トランス共役還元を行なう。隅角メチル基を有するヒドリンデノンの立体選択的トランス共役還元は実現されておらず、接触還元やBirch還元ではシス共役還元が起こるので、隅角メチル基を有するヒドリンダン環合成法からみてMeCu-DIBAH-HMPAの有用性は高い。さらに大きな利点として銅化合物の種類を変えることにより還元の立体選択性を制御できることで、HCu-DIBAH-HMPAではシス共役還元が優先的に起こる。 カルボニル基の代りにシアノ基を有するα、β-不飽和ニトリルのα、β-還元はHMPAを必要とせずMeCu-DIBAH系によって行えることも明らかになった。 以上精密有機合成で有用なMeCu-DIBAH-HMPAという新しい還元剤を開発することができた。
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