研究概要 |
昭和59・60年度計画調書及び補助金交付申請書に記載した研究計画を実施した結果、下記のような成果を得た。 1.ヨードベンゼンジアセタート〔PhI【(OCOCH_3)_2】,【(1a)!〜】〕を用いる3-アロイルプロピオン酸から2-アリールコハク酸エステルへの1,2-アリール転位反応により、抗炎症作用を有する1-インダンカルボン酸の重要中間体である2-アリールコハク酸の簡便で優れた合成法を確立した。 2.ヨードベンゼンジトリフルオロアセタート〔PhI【(OCOCF_3)_2】,【(1b)!〜】〕をエチニルカルビノール類に作用させると、高収率でジヒドロキシアセトン類を与えることを見い出し、この反応を利用してコルチゾン、ヒドロコルチゾン(副腎皮質ホルモン)等の17-位及びアドレアマイシン(制ガン抗生物質)の9-位にみられるジヒドロキシアセトン構造を、それぞれ対応する17-ケト及び9-ケト体より合成する優れた方法を確立した。 3.α-アシルスルフィドに試剤(【(1b)!〜】)を作用させると一段階で Pummerer反応生成物を与えることを見い出し、本反応を用いる Friedel-Crafts型環化反応及びオレフィン環化反応等の炭素-炭素結合形成反応を確立した。 4.塩基性条件下、試剤(【(1a)!〜】)はα,β-不飽和カルボニル化合物と反応して、α′-位に水酸基が導入されたα,β-不飽和カルボニル化合物あるいはα-位に水酸基が導入されたα-ヒドロキシ-β-メトキシジメチルアセタール化合物が得られることを明かにした。 5.上記の反応では、試剤(【(1a)!〜】,【b!〜】)はヨードベンゼンとして回収されるが、これはヨードベンゼンジクロライドを経て、再び試剤(【(1a)!〜】,【b!〜】)に変換できることを明らかにした。
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