研究課題/領域番号 |
59870071
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小倉 治夫 北里大, 薬学部, 教授 (90050335)
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研究分担者 |
大沢 利昭 東京大学, 薬学部, 教授 (40012603)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1985年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1984年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | シアル酸 / N-アセチルノイラミン酸 / 2-デオキシノイラミン酸 / ムチンアナログ / シアリルラクトース / コレステロールグリコシド / 加水分解速度測定法 / シアル酸代謝 / シアリルトランスフェラーゼ阻害 / 癌転移阻害剤 / 免疫調節 / 癌細胞 / 細胞障害活性 / 癌転移抑制効果 |
研究概要 |
シアル酸は生物の細胞表面複合糖質糖鎖の非還元末端にあるアミノ糖として重要な生理作用をコントロールしていることが明らかになりつつある。更に癌化するとこのシアル酸量が糖鎖構造と共に大きく変化することが明らかになって来た。本研究では「シアル酸誘導体は酵素やホルモン系に作用して生理作用の微調節をする。」という作業仮説のもとに立体構造の明らかなシアル酸誘導体を合成した。即ち、N-アセチルノイラミン酸 デオキシノイラミン酸の立体化学を明らかにし、更にムチンアナログの合成シアリルラクトースの合成、N-アセチルノイラミン酸コレステロールグリコシドの合成N-アセチルノイラミン酸変型ヌクレオシドの合成を行った。シアル酸の立体化学を決定するには通常NMRスペクトルの解析とCD曲線からCotton効果を解析する。本研究では更にHPLCを用いて加水分解速度測定法による立体配置決定決を開発した。 上述の方法で合成した立体配置の明らかな多くのシアル酸誘導体を用いてシアル酸代謝に対するシアリルトランスフェラーゼ活性を検討した。その中で二糖ヌクレオシドの5-フルオロ-2',3'-イソプロピリデンウリジン誘導体(KI-8110)が強い阻害作用を示した。この作用はα2→3結合生成を選択的に阻害するものでCDPなど既存のシアリルトランスフェラーゼ阻害剤に比較して安定な作用をもつ事が判った。KI-8110は抑制性T細胞誘導能をもち、マウス結腸癌26細胞由来の高転移株NL-17に対して著明な肺転移抑制効果を示し生存率を有意に延長した。このKI-8110はNL-17細胞の血小板凝集活性を低下させると共に腫瘍細胞への増殖因子(PDGF)に対する感受性を大きく低下させた。これらの結果からKI-8110は腫瘍細胞の膜表面糖鎖を変え癌転移を阻害する新しいタイプの癌治療薬として臨床的有用性が示唆された。
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