研究概要 |
本研究は、海洋の生産構造や生化学的過程の研究に用いるための、複合型海洋観測装置の開発を目的とし,多項目の生物、物理、化学的パラメーターを同時かつ迅速に観測し、コンピュータ処理することによって動的な場の解析を可能にすることを特長とする。 本研究で開発したシステムでは、海洋観測で一般に用いられているCTDO(Conductivity,Temperature,Depth,Oxygen)センサーの水中局に4チャンネルのA/D変換器を付加し、クロロフィル螢光、光量子、光束透過率(濁度)の各水中センサーからの信号を同時に収集し、船上のコンピューターによってデータ処理し、各要素のプロファイルをモニターしながら所定の深度から採水することができるようにした。信号、電力の伝送には、当初、多くの研究船で用いられている単芯アーマードケーブルを用いることを企画したが、この方法では各センサーへの十分な電力供給が行えないため,水中局にバッテリーケースを付加することになり、このバッテリーの充電の必要から長時間の連続使用ができなかった。このため今年度は7芯アーマードケーブルとそのためのウインチを新規購入し、船上からすべての電力を供給できるようにするとゝもに、信号ラインとロゼット採水器のトリガーラインを切離すことゝした。この結果、連続使用が容易に行えるようになったばかりでなく、採水が瞬間的に行えるようになったゝめ、観測時間は著しく短縮された。昭和60年11月に東大海洋研究所研究船淡青丸による東京湾の観測では、8時間で22点の観測を遂行することができた。本研究で開発されたこのシステムは、すでに学会誌に発表されており、また他の研究機関でも採用されはじめている。
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