研究課題/領域番号 |
60010018
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小堀 鴎一郎 東京大学, 医, 助手 (30110696)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
1985年度: 14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
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キーワード | 残胃癌 / 胆汁および胆汁酸 / プロモーター作用 |
研究概要 |
残胃癌の手術例ならびに剖検例の年次別症例数をみると最近の10年間における症例数の増加傾向が著しく施設によってはそれ以前の5〜6倍に達することが報告された。残胃癌の非癌粘膜の組織学的検索から残胃粘膜の特徴的所見として腺寫上皮の過形成(屈曲蛇行)、腺の萎縮とのう胞形成、粘膜筋板の乱れなどが挙げられ、これらの変化が残胃の吻合部に最もつよくみとめられるところから肥汁を含む腸液逆流との関連性が示唆された。残胃はもとより正常胃にも胆汁逆流が多少ともおこっていることは通常の内視鏡検査などによっても確認されているが、これを正確に把握するためには胃液中の微量の胆汁酸を測定することが必要と考えられ、これを主目的として逆相型の担体を充填したBond Eluteカートリッジを用いる抽出法が考案され、その有効性と再現性が確かめられた。 一方実験面においてはラット用に開発された直径3.5mmのflexible evcloscopyを用いた研究からラット胃内への胆汁の逆流は正常ラットでと約30%の頻度でみとめられること、発癌物質投与によってその逆流頻度が90%以上まで上昇することが明らかにされた。胆汁成分と癌との関連については種々の吻合モデルを用いた動物実験の結果から、胆汁を含む腸液逆流の多寡と胃癌発生頻度か正の相関を示すことが報告された。この胆汁成分の胃癌発生促進作用のメカニズムについては細胞の増殖に関与すると考えられるオルニチン脱炭酸酵素(ODC)の誘導と複製DNA合成の促進とをプロモーター作用の指標とし、又不定期 DNA合成の誘導をイニシエーターの指標として検討した。タウロコール酸(一次胆汁酸)1000mg/kgをラットに投与すると投与後4時間後に対照の約100倍のODC活性が、X16時間後に対照の約10倍の複製DNA合成が夫を誘導されが不定期DNA合成は誘起されず、胆汁酸の胃癌発生促進作用はプロモーター作用が中心であることが示唆された。
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