研究概要 |
この研究を(1)加温及び測温装置の理論と開発(2)加温の基礎医学的及び(3)同実験治療的研究に区分する。(1)については深部加温の理論と開発は我邦が最先端だが局所特殊加温法には余地があり石岡はマイクロ波脳腫瘍加温端子を開発、症例も併せ報告した。雨宮は43℃前後のキュリー温を持つ磁性体合金を作り組織内加温法開発を行った。伊藤はヒートパイプ加温を検討形態学的に観察した。測温装置は理論開発とも遅れており、斉藤は磁性体による深部測温実験をした。(2)は温熱耐性と熱ショック蛋白(HSP)との相関性及び同耐性出現の阻止が問題点で、大塚はHSP細胞内局在を検討し、畑山はPuromycin処理でHSPが産生され温熱耐性となる事を認た。加納はadriamycinで温熱耐性出現を、mitomycinで温熱耐性阻止を及びBenzylidene Glucopyranoseで温熱増感を認めた。奥村はセファランチンによる温熱増感効果を示した。近藤は亜致死超音波処理に膜試薬を加えて細胞致死を認めた。久住と福田はアルゴン色素レーザ光力学作用及びこれとヘマトポルフィリンの併用で相互作用を認めた。安徳は細胞系図法で加温による分裂間期死を示し、坪井は低線量率照射で温熱増感が著しい事を示した。坂本は中性子線低抗性細胞株で温熱増感を示し、中村は生体内腫瘍系でcisplatineと温熱の併用効果を認めた。小坂は高温馴化兎で体温調節機能が修飾される事を示した。田中は一時血管塞栓術施行中血液途絶の加温への影響を観た。高橋は肝加温直後の血液学所見でGPT,GOT,LDHの一過性上昇を認めた。(3)では、三島は熱中性子捕獲腫瘍治療に加温を併用した。古賀は人全身加温に際しては症例毎に温熱化学感受性を調るべきと唱えた。山田はバルンカテーテル一時血流遮断下加温制癌剤動注を検討した。平岡は加温放射線併用の腫瘍組織学変化を症例で観察した。中島は症例測温結果から生体内温度分布を推算描出した。当班は癌温熱療法普及の時期にこれを普及させる為の広範な諸研究を行い貢献する機会を得た。
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