研究課題/領域番号 |
60010036
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 一正 名古屋大学, 医, 教授 (60023785)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1985年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
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キーワード | 癌遺伝子産物 / ハービマイシン / DHFR遺伝子 / V79-PEP自然耐性細胞 / efflux阻止物質 / 血管新生因子 / UFT / high-dose Ara-Cとmitoxanthrone併用 |
研究概要 |
腫瘍細胞の低感受性機構を解明して臨床レベルで,癌治療成績の向上を目ざすことを目的として以下の研究成績を得た。 1 ヒト造血器腫瘍細胞の低感受性機構の遺伝子レベルでの解析ではdihydrofolate reductase(DHFR)遺伝子の定量化をおこなうことにより、臨床耐性現象を、実際の患者腫瘍細胞レベルで客観的に把握することが可能となった。 2・制癌剤に対するsrc遺伝子発現及び非発現細胞間の感受性の差-その機構と応用-の面では、癌遺伝子産物を標的とする抗生物質ハービマイシンの開発に成功し、従来の概念を越えた形での低感受性機構克服のための方策を見いだした。 3・ペプロマイシンに対する自然低抗性細胞の低抗性のメカニズムの遺伝生化学的研究においては、実験腫瘍細胞チャイニーズハムスター由来のCHO/V79各細胞系を利用して、自然耐性機構が、BLM不活化の上昇と同時に薬剤細胞内取り込みの低下の機構によることが判明した。こうした複数の機構に基づく耐性機序の解明は、自然耐性克服に有用なモデルである。 4・薬理生化学機序からの耐性克服の方策として制癌活性のないアントラサイクリンのアナローグのみならず、多くのvinca alkaloidも耐性細胞による薬剤のeffluxを抑制して、制癌剤に対する感受性を回復させることを見出した。制癌剤との併用療法により生体内での抗癌作用の亢進の可能性を認めた。 5・腫瘍細胞由来の血管新生因子の検索は、耐性細胞の新しい視点での克服方策になりうる手がかりを与えた。 6・実際の臨床面での対応はhigh-dose Ara-Cとmitoxantroneの併用療法により好成績を得ており、今後、症例の蓄積のなかで、確立されうる治療法と思われる。 以上の如く、本研究班での低感受性腫瘍に対する、基礎的及び臨床的研究は着実な実績を示しつつある。
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