研究課題/領域番号 |
60010041
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 正夫 京都大学, 国立大(その他), 教授 (20013857)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
1985年度: 17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
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キーワード | 発癌 / 染色体異常 / 突然変異 / 癌遺伝子 / 増殖因子 / 白血病 / リンパ腫 / 網膜芽細胞腫 |
研究概要 |
本研究では、主としてヒト癌を対象に、癌の発生にかかわる突然変異とその生成の機構、遺伝子の再構成、転位、増幅などゲノムの再構成、および変異の発現の機構に関して細胞遺伝学的ならびに分子生物学的解析を進めてきた。 造血系腫瘍では、腫瘍あるいは発生組織特異的染色体変異として染色体の転座が多く認められ、発癌機構として転座による癌遺伝子の活性化が示唆され、具体的にはヒト濾胞性リンパ腫、ラット骨髄性白血病細胞でそれぞれbcl-2、c-ablの分子転座あるいは活性化が明らかとなった。網膜芽細胞腫の発生には欠失型の突然変異が出発点となっているが、造腫瘍性の獲得には一般には悪性度の増強に関連するNo.1染色体の長腕の増量など二次的変異が重要な役目を果している。同様な現象はX線誘発マウス骨髄性白血病の発症にも認められた。DNA修復欠損症など高発癌性が劣性遺伝素因で支配されている場合の高発癌性は高突然変異性で説明できる実験結果を得た。胞状奇胎、卵巣奇型腫は、どちらか一方の親のみの配偶子性ゲノムに由来し、配偶子ゲノムの倍化あるいはホモ接合化が腫瘍原性に関係していると考えられた。T細胞性リンパ腫では14p12,14g11転座が指摘されたが、成人T細胞白血病(ATL)では疾患特異的染色体異常は観察されなかった。ATL細胞ではIL-2受容体の恒常的発現がある。ヒトIL-2受容体遺伝子は異種細胞でも発現するが自律増殖に至らない。すなわちATLの発症にはIL-2受容体の恒常的発現のみでは不十分である。胃癌では、c-mycの増幅を示すもの以外に新しくc-yes-1の増幅を示す例が見出された。新しい癌遺伝子c-rosを単離した。その一次構造からキナーゼ活性を持つ新しい型の受容体型遺伝子であると推定され、また、ヒト癌の中で発現していることも確認された。
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