研究課題/領域番号 |
60010066
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
森本 雍憲 城西大学, 薬, 助教授 (90001057)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1985年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | アルブミン小球体 / 油性製剤 / エマルション / アドリアマイシン / マイトマイシンC / カルモフール / 化学的塞栓療法 |
研究概要 |
以下に述べる4点、すなわち、(1)粘性油性製剤及びこれらのo/w型エマルション製剤の調製法、(2)油性製剤からの薬物の放出特性、(3)標的部位における油性製剤の塞栓効果、集積性、及び滞留性、(4)マイトマイシンC(MMC)及びアドリアマイシン(ADM)含有アルブミン小球体の臨床応用に関する今年度得られた研究実績概要について以下に示す。 (1).制癌剤含有油性製剤は、オレイン酸に増粘剤であるステアリン酸アルミニウムを加え、加熱;攪拌した後、カルモフール(HCFU)またはセムスタチン(Me-CCNU)を加えて調製した。また、これに水、グリセリン、界面活性剤を添加、攪拌してo/w型エマルション製剤も調製した。 (2).油性製剤からの薬物放出は持続的で、12時間後の放出率はHCFU,Me-CCNUともく10%だった。また、油性製剤の粘度を上げると放出速度は遅くなり、粘度を変えることで薬物放出の制御が可能であった。 (3).ラット肝動注後の塞栓効果をAngiogramから検討したところ、粘度の高い油性製剤で動脈塞栓が観察された。O/W型エマルション製剤に関しては、このような効果は観察されなかった。油性製剤の標的部位への集積性・滞留性は、粘度の増加に伴い高くなり、投与2日後でも約70%が残存していた。o/w型エマルション製剤では、粒子径が小さい(3μm)と消失が粘性油性製剤に比べ早かったが、粒子径が大きい(10μm)とほぼ同様に残存していた。これらの結果は、油性製剤やo/w型エマルション製剤が、化学的塞栓療法に応用が可能であることを示唆している。 (4).MMC含有アルブミン小球体を肝癌患者に投与し、その抗腫瘍効果を検討したところ、約7割にCEAや2-FP値の減少や腫瘍の縮少が観察され、特に転移性肝癌患者において顕著であった。また、副作用は、ほとんどなく一過性の腹痛が見られる程度であった。さらに、炎症性乳癌患者にADM含有アルブミン小球体を投与すると、著明な臨床・組織学的効果が得られ、臨床における有用性が示唆された。
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