研究課題/領域番号 |
60010098
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
林 健志 国立がんセンター, その他, その他 (00019671)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1985年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
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キーワード | アフラトキシン【B_1】 / 肝がん / C-myc / 増幅 / 胃がん / 塩基配列 / シクロヘキシミド / 転写活性化 / 発がんプロモーター |
研究概要 |
1.アフラトキシン【B_1】によってフィッシャーラットに誘発させた分化型肝がん2例について種々の遺伝子の発現をノーザンブロット実験によって検討したところ、C-mycおよびC-Ha-ras遺伝子の発現が増大し、肝細胞の分化形質であるアルブミン遺伝子の発現は減少していた。このうちの1例ではC-myc遺伝子の増幅が見い出された。 2.ヌードマウスに移植継代中のヒト胃がん17例中3例にC-myc遺伝子の増幅を見い出した。この中の1例、Shiraishi株からC-myc遺伝子をクローン化し、同遺伝子およびその上流領域の全一次構造を決定した。その結果、蛋白質コード領域を含む塩基配列に重要と思われる置換は見い出されなかった。従って、C-myc遺伝子増幅には量的変化のみが重要であると考えられる。同様の結論が、増幅C-myc遺伝子をもつモーリス肝がんに関しても得られた。 3.ラット肝臓の部分切除によって引き起こされる再生現象の初期にC-myc mRNAの一過的増加が見られる。また、蛋白質合成阻害剤シクロヘキシミド投与により、in vivoの多くの臓器で、C-myc mRNAの著しい増加が見られる。これらの増加に、同遺伝子の転写活性化が寄与していることが、単離核転写実験から明らかとなった。これは従来の培養細胞を用いた実験結果と異なるもので、in vivo細胞を材料とした実験が発がん機構を追究する上で重要であることを示唆する。 4.マウス線維芽細胞Balb3T3細胞を発がんプロモーターTPAあるいはテレオシジンBで処理すると形体変化を起こし、contact inhibitionがなくなりfocusを形成するが、この変化は、可逆的である。しかるにV-Ha-ras遺伝子をトランスフェクトした細胞(Balb3T3 A-31-1-1 H6)では、発がんプロモーターによって不可逆的にトランスホームした細胞が生じることを見い出した。この事実はプロモーターによってC-myc遺伝子の発現が不可逆的に活性化された可能性を示唆する。
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