研究課題/領域番号 |
60015013
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多田 富雄 東京大学, 医, 教授 (10009136)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1985年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 細胞傷害性T細胞 / 自己Ia反応性T細胞 / T細胞クロン / T細胞レセプター |
研究概要 |
本研究では、H-2遺伝子の拘束の明らかな細胞傷害性T細胞(Tc)の活性を定量的に測定する系を作り、ついでこのTcを増強または抑制するところのヘルパ-T細胞(Th)およびサプレッサーT細胞(Ts)のクロン化されたT細胞相互の調節作用を調べることによって、腫瘍免疫を細胞クロンおよびクロン由来分子のレベルで解析することを課題としている。本年度の研究によって、以下の点が明らかになった。 1) C3Hマウスから得た自己Ia反応性T細胞クロン(MS202)は、H-2拘束性にB細胞を補助するThとして働くのみならず、同系のT細胞と培養した場合には、正常T細胞に強い増殖性反応をひきおこすことが明らかになった。MS202によって増殖してくるT細胞は、Tsとしての活性を持ち、ThのH-2拘束に特異的な抑制効果を示すことが明らかとなった。 2) C3Hマウスを同系の腫瘍であるMM48で免疫すると、MM48生細胞のチャレンジに対して拒絶を示すようになる。ところが、C3HマウスをあらかじめMS202で処理しておくと、MM48に対する免疫が成立しなくなることが明らかになった。Winnのテストを用いて調べた結果、MS202処理マウスのTc活性が著しく低下していることがわかった。この結果は、自己Ia反応性Thクロンを投与することによって、生体内で構成されている免疫回路が乱れ、Ts活性の増強、Tc活性の低下をきたし、腫瘍の生着・増殖を増強したためと考えられる。この詳細な機序を解析するため、in vivo細胞移入およびin vitroの反応系を開発中である。 3) これまでに作製した種々の調節性機能を持つT細胞クロンの中に、T細胞のH-2拘束性を決定するレセプターに対するモノクローナル抗体と反応するものが得られている。現在これらのクロンを用いて、H-2拘束を決定するT細胞レセプターの構造解析を開始している。
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