研究概要 |
1谷岡ら(実中研)によって飼育・繁殖されたペルー産コモンマーモセットの血液像・骨髄像、赤血球内中間代謝産物を調べ、ヒトとの類似点を明らかにした。 2マーモセットの大腿骨を剔出し、それよりフィコール・ハイパーク比重遠心法(1.077)を用いて無菌的に骨髄単核細胞を分離した。この細胞分画を構成する細胞は、ヒト骨髄のそれを形態学的に類似していた。 3これら単核細胞をウシ胎児血清とDMSOを含む培養液中で凍結保存した。解凍後の生細胞回収率は数10%程度であり、満足のいくものではなかった。 4ウシ胎児血清を含む0.3%軟寒天培地中での上記単核細胞のコロニー形成能を検定した。CSFを添加しないこの培養法ではヒトコロニ形成はないが、マーモセットでは7-14日間の培養で50個以上の細胞よりなる芽球、混合、赤芽球、顆粒球マクロファージ、肥満細胞などの各種のコロニー形成が認められた。再コロニー形成能の検討はまだ行ってはいないが、液体培養系で長期に培養を続けたのちもこれらコロニー形成能は維持されることが判明した。 5ヒトCSF産生腫瘍株(CHU-2)の無血清培養上清より分離精製したヒトG-CSF(Mr18,000の糖タンパク)は、上記のin vitroコロニーの大きさや数を増加させ、また顆粒球コロニー/芽球コロニー比を著しく増大させた。 6ウシ胎児血清の代りにインシュリン,BSA,トランスフェリン、コレステロール、レシチンを添加したIscove無血清軟寒天培養法で精製G-CSFはヒトGコロニーを刺激する。しかし、同培養法でマーモセットのGコロニー形成は認められなかッた。マーモセットの造血幹細胞の分化増殖機構はヒトのそれと若干の相展がある。
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