研究課題/領域番号 |
60015059
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放医研, 助教授 (80093293)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1985年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 未分化テラトカルシノーマ細胞 / モロニー白血病ウィルス / メチル化 / LTR / クロマチン構造 / DNase【I】感受性 |
研究概要 |
申請者は未分化テラトカルシノーマ(EC)細胞に感染したモロニー白血病ウィルス(Mo-MuLV)が内在化する機序として、この細胞ではMo-MuLVLTRに働くtrans-actingな制御が存在し、抑制されたMo-MuLV遺伝子は宿主細胞内で徐々にメチル化されるとの仮説を提唱した。Mo-MuLV LTR下流にバクテリア由来の薬剤耐性遺伝子neoをつないだ組織体を作り、これを未分化EC細胞にトランスフェクトしたところ、発現が抑えられたのでMo-MuLV LTRに対する抑制機構は事実存在すると思われる。neo遺伝子とのコトランスフェクションで導入したMo-MuLV遺伝子は未分化EC細胞中でメチル化されないにも拘らず抑えられるので、この抑制にはDNAのメチル化が必要でないことが判る。未分化EC細胞で遺伝子発現に及ぼすDNAメチル化の影響を調べる目的で、dihydrofolate reductase(dhfr)遺伝子のプロモーター下流にneo遺伝子をつないだ組織体を作成した。これをバクテリアのDNAメチル化酵素M・Hpa【II】とM・Hha【I】でメチル化して線維芽細胞へトランスフェクトしたところ、メチル化をしないものに比べ活性は20%に低下した。一方同じものを未分化EC細胞で調べると、メチル化による抑制はみられなかったので、この細胞ではDNAメチル化が積極的な意義を全くもたぬことが明かになった。線維芽細胞等ではDNAメチル化はその部位のクロマチンの凝縮シグナルとして働いている。未分化EC細胞についてメチル化されて転写活性のないMo-MuLV遺伝子やαグロビンと、メチル化がなく転写されているdhfr遺伝子のクロマチン構造をDNase【I】感受性によって検討したところ、これらの遺伝子はどれも同じ感受性を示した。一方、分化したEC細胞では前二者はDNase【I】に抵抗性であった。以上をまとめると、未分化EC細胞ではDNAメチル化や転写の有無に拘らず全ての遺伝子は等しいクロマチン構造をもち、転写はtrans-acting制御でのみなされている可能性が明らかになった。
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