研究課題/領域番号 |
60015063
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
甲斐 一成 山口大学, 農, 助教授 (60085628)
|
研究期間 (年度) |
1985
|
研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1985年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
キーワード | フレンドウイルス / マウス後肢の振戦 / 神経細胞変性 / 赤白血病 |
研究概要 |
ラット継代フレンドウイルスからラットに後肢マヒを誘発するウイルス4株を分離した。これらのウイルス株を生後1日以内の新生NFSマウスに接種すると、3株はマウスの後肢に振戦を誘発した。PVC441株を用いた時最も明瞭に振戦を観察できたので以後このウイルルを用いて生物学的諸条件を決定した。ウイルス接種量が多すぎると感染マウスは離乳期前後に全例とも死亡した。少しウイルス量を下げると感染マウスは全般的に発育不全を示しながらも全例ともに生存し離乳期前後から振戦を示すようになった。このうち少数のマウスはさらに後肢マヒにまで進行した神経症状を示した。残るマウスは振戦症状を持続したまま肝・脾腫大を主徴とした白血病を誘発して死亡するまで生存している。次にウイルス接種時期による影響を調べてみると生後3日までの接種では振戦を誘発するが6日以後の接種では振戦を誘発しないことが明らかになった。一方白血病発症の面ではマヒ症状を示す若干のマウスの例を除いて全例とも肝・脾腫大を主徴とする白血病を発症し、これらのマウスはいずれも重度の貧血症を起していた。振戦を示し、且つ白血病を発症しているマウスの病理組織学的検索を行なったところ、脊髄組織の標本から明らかな神経細胞の変性が観察され、変性細胞の脱落でスポンジ様の像が観察された。抗マウス白血病ウイルス血清を用いて間接螢光抗体法で調べると、ラットの場合と異って、神経細胞にウイルス抗原が明らかに存在していることがわかった。電子顕微鏡による観察では変性組織の再生像が観察された。この結果は持続する振戦を理由づける証拠になるかも知れない。一方腫大した脾臓組織には赤芽球の著しい増殖が観察され、この白血病が赤白血病であることが明らかになった。コントロールのフレンドウイルス感染マウスは白血病を発症するが振戦等の神経症状を示さない。しかしその神経組織には若干の神経細胞の変性が観察された。
|