研究課題/領域番号 |
60015071
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
馬場 恒男 九州大学, 生体防医研, 教授 (70037323)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1985年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 2経路化学療法 / cis-DDP / STS / Angiotensin II |
研究概要 |
制癌剤と中和剤の組合せを利用する2経路化学療法については主としてcis-Diamminedichloroplatinum(II)(DDP)とSod.thiosulfate(STS)を用いて各種の癌化学療法としての投与法を実験的に検討し、今や実際臨床面に於いても広く応用されるようになってきた。 本年度はこのDDPの生物活性定量法が未だ確立されていなかったので、まずこの活性定量法を確立し、それによって兎を用いてDDPと STSの組合せによってDDPの活性が血中に於て明らかにSTSによって失活する事実を経時的に測定した。分子量比にして400倍のSTSを投与することがDDPの体内失活のために必要であることを明らかとした。一方、この中和剤を用いる癌化学療法を局所的な癌でなく、全身的投与法に発展させるために各種の試行を行なった。中でもAngiotensin II(AT-II)を用いて昇圧させた条件下でDDPとSTSを巧みに投与すると、STSの投与タイミングをDDP投与5分後にずらせても、夛量のDDPによる全身毒性を軽減出来ることが明確となった。これは即ち、AT-II投与により癌血流は選択的に増大するが、腎血流は著明に減少するという特徴的薬理効果を巧みに逆用出来たものである。この癌血流増大時に多量の制癌剤(DDP)を癌巣に集中せしめ(腎血流は低下しているのでDDPの腎流入は低い)AT-II投与停止と同時に注入されたSTSは、腎血流再開時にDDPと混在するので腎毒性は防止される。このAT-II昇圧-DDP-STS全身癌化学療法は昇圧DDP法、単独DDP法よりもすぐれた制癌性を示した。 現時点に於いては、更に前進した「強心剤-Angiotensin協調改良型昇圧癌化学療法」の完成に研究は向っているが、これは、從来認められなかった極めて優れた癌治療効果を実験的に提示しつつある。
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