研究概要 |
1.myc遺伝子の発現ベクターへの組み込みと発現。 昨年度までに、バーキットリンパ腫からcDNAライブラリーを作製し、mycDNAクローンpDNmyc-1を得た。又、ゲノム遺伝子をクローニングして、エクソン【I】,【II】,【III】を全て含むλmyc.g1-6を単離した。本年度はこれらのmyc遺伝子とSD配列を含むオリゴヌクレオチドをつなぎあわせフルサイズの構造遺伝子とし大腸菌での発現ベクターに組み込んだ。しかし、種々ベクターを用いても遺伝子発現を認めない為にヒトN-ras遺伝子との融合蛋白を作製することにした。ヒトN-rasの発現ベクターはTrpx2プロモーターの下流にフルサイズのN-rasをつないだものであるが、この遺伝子のATGより約60bpの部位より下流にmyc遺伝子をつないだ。このクローンをトランスフェクトされた大腸菌は、30K、80Kの新しい蛋白を作製した。現在、myc蛋白を含むと思われるこれらの蛋白の解析をおこなっている。 2.ras遺伝子対応合成ペプチドに対するモノクローナル抗体の作製と解析。 ras遺伝子塩基配列の対応アミノ酸よりなるペプチドを合成し、牛血清アルブミンを担体として用いた。ras遺伝子ではN末より10-17のアミノ酸およびN末より57-65のアミノ酸よりなるペプチドを、プロトオンコジーンおよびオンコジーン、(12番目;Gly→Val.61番目;Gln→Leu)の各々に対して、計4種類作製した。得られた約1500クローンのハイブリドーマより、ras遺伝子のペプチド特異性を有する3クローンのモノクローナル抗体を得、内最も早期に得られたCL6-183(免疫原;rasプロトオンコジーンN末より10-17のアミノ酸ペプチド)につき解析を進めた。本抗体は、ELISAにて免疫に用いたペプチドとのみ反応を示し、イムノブロッティングにて遺伝子操作により作製したras遺伝子産物p21と反応した。
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