研究概要 |
本研究グループが作製した白血病・リンパ腫関連モノクローナル抗体を用い、その対応抗原の染色体支配及び遺伝子支配の解析を行った。 染色体支配の解析は、ヒト末梢血リンパ球のConAブラストとマウスBW5147株細胞とを用いた体細胞雑種形成法により、現在までに汎T抗原の一種でT細胞性白血病・リンパ腫の分化段階を規定するに重要な抗原であるTp120抗原(CD6,gp120)及びTp40抗原(CD7,gp40)の支配遺伝子がそれぞれヒト染色体の11番及び17番上に存在することを(【i】)染色体分析、(【ii】)Lactate dehydrogenase A(第11番染色体)、Galactokinase(第17番染色体)のアイソザイム解析、(【iii】)フローサイトメトリーによる抗原発現の分析及び(【iv】)免疫沈降法による抗原分子の同定により明らかにした。但し、リンパ性白血病関連抗原であるNL-1(CD10,gp100),NL-22,HL-47抗原遺伝子の検索は、これら抗原陽性白血病細胞とマウスNS-1細胞との雑種細胞形成により実験を行ったが、一過性の陽性融合細胞を認めたのみで染色体の同定には到っていない。 遺伝子支配の研究の第1歩として、HPB-ALLの高分子DNAを用いて行った遺伝子移入(transtection)において、汎T抗原であるTp40並びにHLAclass【I】抗原を同時発現するトランスフェクタントの樹立に成功した。第3次トランスフェクタントの樹立にも成功したが、Tp40抗原のみ陽性でHLA class【I】抗原は陰性となった。本細胞より高分子DNAを抽出し制限酵素Sau3Aにて切断後、λEMBL-3に挿入し、遺伝子ライブラリーを作製した。Alu配列(Blur8)をプローブとしたプラークハイブリダイゼーションの結果、1個の陽性プラークを得た。このファージ0-2(13kb)の制限酵素地図を作製し、Alu配列の存在するフラグメントを同定した。しかしながら、ファージ0-2によるトランスフェクションではTp40抗原陽性クローンは得られておらず、本DNAとTp40抗原支配遺伝子の関連は明らかでない。
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