研究課題/領域番号 |
60020031
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研究種目 |
自然災害特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
角屋 睦 京都大学, 防災研, 教授 (00027210)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1985年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 復元 / 古災害 / 津波 / 高潮 / 斜面崩壊 / 大崩壊 / ファジィ理論 / 災害史料 |
研究概要 |
まず、災害史料の収集については、弘化4年善光寺大地震関係史料、江戸時代の海難史料、淀川治水関係史料および京都天明7年大火関係史料などを収集し、1次資料として用いることができるように整理して、それぞれの災害の年表を作成した。つぎに、史料の統計的分析手法の1つとして、それぞれの史料に含まれる記述のあいまいさの程度をファジィ理論を用いて定量化する試みを、斜面崩壊を対象として行った。すなわち、斜面崩壊は、多数の要因が複雑に関連し合って発生する現象であり、各々の要因の物理的現象をモデル化することは可能であっても、各種の要因が輻輳して崩壊に到るような場合を一般化し定量的に把握することは困難な場合が多い。そこで、ファジィ理論で展開される各種の数学的手法を斜面崩壊に関する一連の問題(崩壊機構のモデル化、崩壊の発生予測)に適用して、定性的なデータのみからでも崩壊予測のアルゴリズムが構築できることを示し、実用的な崩壊予測法を作成した。さらに、災害の復元として、江戸時代の寛文の高潮と安政南海道津波による大阪の被害をとりあげ、各種の史料解析からとくにその外力を推定することを主眼とした研究を実施した。ここでは、それぞれの災害情況を古文書、古絵図等により把握することもに、天保山の地盤沈下量を推定して、津波の高さを検討し、これに基づく大阪の市街地の氾濫復元図を作成した。これと『大坂大津浪図』と比較した結果、津波の高さが約1.9mであることを見出し、津浪の被災状況との斉合性も極めてよいことが確められた。計算した氾濫図を基本とし、史料のあまり残されていない寛文の高潮の氾濫図を作り、両者の比較から高潮位を推定し、当時の推算潮位から潮位偏差(気象潮)を評価することもできた。このほかに、十津川と大津市の大崩壊についても、空中写真の判読と史料解析から、それらの崩壊規模をかなり正確に評価し、ある程度外力を明らかにすることができた。
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