1.コロンビアに実質滞在した11日間中、前後2日は国立地質鉱山形究所(ボゴタ)で打合せ、情報収集など。のこり9日間は、マニサーレスを拠点として野外調査・空察、地震観測に費した。 2.帰国後、勝井・河内は新噴出物の諸特性を、高橋・江頭は土石流と泥流堆積物の特性と被災状況の関連を検討。渡辺は地震の特性を解析、さらに火山弾を用いて爆発強度を推定した。 3.新噴出物は火砕サージ・降下火砕物・火砕流などからなり、この順序で噴出した。火砕サージは山頂火口から 約3Km流下、薄く表層を被覆し、火口の西2Kmにあった山小屋を破壊掫降下火砕物は北東に分布、体積0.06【Km^3】。火砕流は火口周辺にのみ分布、体積0.01-0.02【Km^3】。新噴出物は角内石-黒雲母含有紫蘇輝石-普通輝石安山岩(Si【O_2】=60%)からなり、縞状軽石を伴う。その暗色部は、Mgに富むかんらん石を含む(Si【O_2】=60%)。 4.降下火砕物の量から推して、今回の噴火は有珠山1977年噴火(0.1【Km^3】)より小さく、特別大規模なものとはいえない。しかし、少量ではあったが高温の火砕流が発生して、山頂氷河を急速に融解、大泥流発生の誘因となった。泥流の流下堆積機構を調査した結果、この泥流は河谷堆積物・地下水をとり込みつつ、土石流の性質を獲得し極めて破壊力の大きなものとなり、アルメロ市をはじめ山麓諸都市を襲ったことが明らかとなった。 5.噴火の1ヵ月前に災害予測図が公表配布されていたにもかかわらず、2.4万人もの儀性者を出したことが措ししまれる。今回の事態は火山災害の予知・軽減を計る上で、極めて有益な教訓に富むものであった。
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