研究概要 |
研究実績は、従来までに収録されているデータの解析と、1985年度のレーダーの運用によるデータの蓄積の二つに大別されるが、得られた結果は次のようなものである。 1.1983,84年の2,3月のデータ解析から、石狩湾周辺の降雪雲を気圧配置によって、季節風型、季節風末期型、低気圧型に分けた。その結果、どの降雪雲もエコー面積の出現頻度は1【Km^2】から1000【Km^2】まで、ほぼ対数正規確率分布をしており、2【Km^2】までで、全体の50%を占めていた。また、総エコー面積の増加は、10【Km^2】以上のエコーの増加によって特徴ずけられ、10【Km^2】以下のエコーは逆に減少する傾向が認められた。エコー面積の頻度は、季節風時のものが最も多かった。一つのエコー面積の中に占めるエコー強度の強い部分の面積比は約40%であった。 また、100【Km^2】以上に成長したエコーの最大エコー面積を示した位置を求めたところ、いずれのタイプの降雪雲も石狩湾の海岸線付近でその面積が最大になることがわかった。各タイプの平均寿命を求めると、季節風タイプが平均寿命に対して最も大きくなり、平均寿命60分の降雪雲のエコーは25【Km^2】で末期のタイプのものは20【Km^2】であった。 2.1985年12月下旬から1986年3月中旬まで、48日間レーダーを運転し、磁気テープに収録した。その結果、季節風時の石狩湾に南北、および東西に延びるエコー、前線性の雪から雨に変ったケースのエコーで、陸上でエコーが発現し、発達したケース、前線に伴い広範囲に弱い降雪をもたらした層状のエコー等、興味あるデータが得られた。 この研究により、石狩湾周辺の降雪雲のレーダーエコーの気候学的性質がかなり明らかとなり、この付近の降雪の短期予測等について重要な情報が得られた。
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