研究課題/領域番号 |
60025024
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研究種目 |
自然災害特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大西 有三 京都大学, 工, 助教授 (30026348)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1985年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 斜面の安定 / 岩盤のき裂 / 間隙水圧 / 地下水 / 有限要素法 / 連成解析 |
研究概要 |
斜面の安定が失われることによる地すべり災害を未然に防止するための技術的問題としては、予知・予測技術のなお一層の向上があげられる。的確な予知・予測を樹立するためには、地すべりの発生に関する素因と誘因の関係が解明されなければならない。 本研究では斜面崩壊の一つの大きな誘因であると見られている地下水位の変動に焦点を当て、素因としての地質不連続面すなわちき裂が斜面の安定とどのようなかかわりを持っているかを、実験にもとづく力学定数を用いて、飽和-不飽和浸透・応力変形連成解析という新しい数値解析手法を活用してき裂性岩盤斜面の安定性を検討した。解析の基本となる岩盤モデルの作成は、現場で得られたボーリングや踏査からの地質諸量のデータを研究室に持ち帰りパーソナルコンピュータで統計処理したのち、有限要素法で予備計算し、最終的な形状を決定するという手順で行なった。 不連続面の力学挙動は充てん物やその含水状態に大きく左右されるため、これを室内三軸試験装置内に再現した人工の不連続面供試体を用いて実験した。不連続面に粘土などの充てん物をはさんだ場合と何もない場合について検討を行い、不連続面の強度変形特性をデータとして得ることができた。これらの実験結果をき裂を考慮した応力変形浸透の連成解析有限要素プログラムに入力し、岩盤斜面の安定解析を行なった。いくつかの例題による解析結果によると水位上昇による有効応力の減少、浸透圧の増加などが斜面の安定を失わせること、岩盤のき裂の配置が水圧の分布ならびに応力の分布に大きくかかわっており岩盤斜面の安定もそれらの影響を抜きにして議論できないことなどが確認された。また、解析の結果は現場の実測の傾向をよく表現できることがわかり、手法の有効性が認められた。
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