研究課題/領域番号 |
60030022
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研究種目 |
環境科学特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松野 太郎 東京大学, 理, 教授 (40037172)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 対流雲 / クラウドクラスター / 二酸化炭素増加 |
研究概要 |
大気中の二酸化炭素の増加に起因する放射収支の変化に対応して、対流雲の構造や降雨特性がどのように変化する可能性があるのかを数値モデルによる実験で推定するのがこの研究の目的である。3年計画の2年目に当たり、昨年度開発したモデルを用いて現在の条件下での実験を行い、現状の対流雲の特性がモデルで再現され得るかどうかを調べた。水平512km、鉛直20kmの領域に、水平方向に1km、鉛直方向に250m間隔の格子を置いて数値実験を行った。外的条件として、大気は熱放射のため一定の率で冷却するとし、他方下端には温度29℃の海面があって熱・水蒸気を補給し対流を維持する、という状況を設定した。初期にランダムな温度分布を与えて長時間(5日間)積分を行い"自然に"おこる対流雲の構造と振舞いを調べた。その結果、次のことがわかった。 (1)対流雲は、孤立した形では現れず、水平サイズが数10km程度の集団に組織される。これは、実際大気中のクラウドクラスターに対応すると考えられる。 (2)クラウドクラスターの中では、雨滴が大気最下層を落下する際に蒸発によって低温気塊が作られる。それが周囲の空気を押し上げることによって潜在不安定気層中で対流雲を次々と作る引き金作用をしている。 (3)対流の組織化の原因をさぐるため、雲と降水に関する微物理過程を意図的に変えて比較実験を行った。その結果雨滴の蒸発が最も重要であることが示された。 以上のように、今年度の実験によって、現状の大気条件下では、対流雲は必然的に組織され集団をなすことが示された。人工衛星からの観測によると、熱帯海域では、積雲対流は、水平スケール100〜1000kmのクラウドクラスターとして出現している。今回の実験は、モデルがこの特性を再現し得ることを証明している。
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