研究概要 |
本年度に各班員が行なった実験の成果を以下に列記する。和田(秀)は湛水土壌に加えられたN【O_3】が【N_2】O,【N_2】に変換(脱窒反応)されるだけでなく、N【H_3】に変換(N【O_3】醗酵)されることを確認し、これら両反応が現れる比率が 土壌のEhとN【O_3】とグルコースの量比に応じて規則的に変動することを明かにした。福土は畑状態土壌で進行する脱窒反応を正確に測定する条件を吟味し、その知見に基づいて、畑状態土壌の脱窒活性を測定する方法を確立した。岩坪は森林のモデル系を用いて、窒素濃度の高い下水を散布した際にN【H_3】揮散が起ることを見出した。三田村は琵琶湖において植物プランクトンがNを吸収する速度が光合成速度とつり合っていないことを認めた。大森は窒素固定条件下で培養したラン藻Anabenaが【^(15)N】【H_4】をグルタミン、グルタミン酸、アスパラギンに速かに取り込むこと、気相の【N_2】/C【O_2】比を変えてラン藻を培養するとラン藻体内のアミノ酸組成が変化することを明らかにした。和田(英)は各種生態系においてδ【^(15)N】,δ【^(13)C】を測定し、δ【^(13)N】が栄養段階と極めて良い関係にあることを見出した。川村は大豆板瘤菌を好気的と嫌気的との条件下で培養し、培養液中に含まれているN【O_3】とN【O_2】の量の変化を追跡し、培養条件によって根瘤菌の硝酸還元に差があることを認めた。藤原はp-ニトロフェニル酢酸を用いて水圏試料のcarbonic anhydrase活性を測定することを試み、本酵素活性がこの比色法の定量感度会下であることを認めた。小野寺はA.vinelandiからニトロゲナーゼ活性の無い変異株を得(【Nif^-】株)、この株からW,Feを加えた培地でニトロゲナーゼ活性を持つ復帰変異株(【Nif^+】株)を得るのに成功した。不破は多摩川河口域、東京湾域において、海水試料を採取し、懸濁粒子と溶存成分について微量金属の同定とキャラクテリゼーションを行なった。
|