研究課題/領域番号 |
60030029
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研究種目 |
環境科学特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茅野 充男 東京大学, 農, 助教授 (10007677)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1985年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 重金属 / 指標レスポンス / メタロチオネイン / イネ / カドミウム腎障害 / 亜鉛耐性菌 / 家庭排水 / ラジオイムノアッセイ |
研究概要 |
人間社会の各所で消費されて、環境諸圏に放出される重金属によって生ずる汚染は単位面積、単位時間あたりでは薄いものであるため、生態系諸相で生ずる攪乱は緩慢に進行し検出が困難である。本研究は、この種の汚染を鋭敏に検出するための生態系(植物、ヒト、微生物)のレスポンスの検索を行なうとともに、重金属が人間生活→排水→下水処理→下水汚泥→農地→作物→食物→人間という連鎖系を移動する際の挙動を明らかにし、指標レスポンス検索の基礎的知見を得ようとした。 以上の目的を達成するために、本年度は(1)植物における指標レスポンス、(2)人間における指標レスポンス、(3)汚泥土壌の指標としての耐性菌の検索、および(4)家庭生活由来重金属の挙動について検討した。 (1)植物における指標レスポンス:イネの根はCdを多量に集積するが、その際、Cd処理をした根にSH化合物が誘導生成されることが判明した。更にゲル瀘過法により、この誘導化合物は分子量5600のタンパク質で、システインを多量に含み、芳香族アミノ酸を全く含まないこと等からメタロチオネイン(MT)の一種と考えられた。その誘導期間が短かく、特異的なことから指標レスポンスとして利用できると予想された。 (2)人間における指標レスポンス:MTのRIAによる鋭敏な検出法を確立し尿中のMTを分析したところ、Cd曝露を受けた人の尿中MTはそうでない人より多いことが判明し、尿中MTがCd曝露の指標レスポンスとなり得ることが示された。(3)汚染土壌の指標としての耐性菌の検索:Zn培地で生育する菌が数種検出された。特に耐性の大きいものは1000ppmのZn濃度下で正常な生育をした。 (4)家庭生活由来重金属の挙動:家庭にもちこまれるZnより排出されるZnの多いことから、家庭内でのZnの発生が考えられた。食物由来のZnは、排出量の30%程度と推定された。
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